ホンダは5月13日、2028年稼働を予定していたカナダでの電気自動車(EV)専用工場やEV用電池工場などの計画を、2年程度延期すると発表した。世界的にEV需要が減速傾向にあるため。計画の再開時期などについては今後の市場動向を見極めて決めるとしている。
この計画は24年4月25日に発表された。EV工場や電池工場に加えて、電池材料メーカーとの合弁工場を含めたカナダへの一連の投資額は150億カナダドル(当時のレートで約1兆7000億円)とされていた。
カナダ・オンタリオ州の既存工場の隣接地に年間生産24万台の工場、年間生産36ギガワット時の電池工場などを建設する計画。従業員4200人(当時)に加え、新たに1000人を雇用する予定だった。ホンダは、当時は30年には年間200万台のEV生産体制を構築する計画を打ち出していて、北米では80万台程度のEV販売を目指すとしていた。
カナダ連法政府やオンタリオ州からも補助金を受ける予定で、北米で将来的にEVの需要が伸びると見込んでの決断だったが、わずか1年で大幅な方針転換となった。
また、今後のEV関連計画について、三部敏宏社長は「EV市場の鈍化を踏まえて計画を後ろにずらすことを考えている」と話した。すでに発表しているEV「ゼロシリーズ」などは計画通りに投入する方針だが、生産台数や投入モデル数などが減る可能性があるとした。ただ、「競争力を踏まえると、やはり継続して(EVを)出していき、商品を進化させていくことが重要と考えている。ホンダとしては、EVを出していくことは変わりなくやっていく」と強調した。
(2025/5/13更新)