トヨタ自動車は、主力車種「カローラ」シリーズでガソリン車を順次、廃止する。国の燃費基準や電動車普及目標を踏まえた。トヨタの国内電動車比率はハイブリッド車(HV)を中心に7割に迫る勢いだ。系列販売店には、プラグインハイブリッド車(PHV)と電気自動車(EV)を合わせた販売比率を2割程度に高める方針も伝えており、国内で「乗用電動車100%」が射程に入る。
カローラシリーズは、同一車種名で複数の車型を展開する「群戦略」を採用する。セダンの「カローラ」のほか、ハッチバック「カローラスポーツ」、ステーションワゴン「カローラツーリング」、SUV「カローラクロス」について5月以降、一部改良を機にガソリン車を廃止する。「GRカローラ」はガソリン車のみのため例外的に残す。トヨタ自動車東日本で生産する先代モデル「カローラアクシオ」「カローラフィールダー」は10月に生産を終了する。
カローラのエントリーグレードは法人需要の受け皿でもあり、ガソリン車の廃止はこの需要を失いかねない。このため装備を簡素にしたHVの新グレードを設定し、顧客流出を防ぐ。
カローラと同じ群戦略を採用する「クラウン」シリーズにはすでにガソリン車の設定がなく、全車型が電動車だ。また、今年6月にはレクサス「NX250」のガソリン車も生産を終了する見通し。トヨタの国内新車販売における電動車比率は7割に迫る勢いで推移しており、売れ筋モデルの電動化で電動車比率はさらに高まる見通しだ。
PHVやEVの販売にも力を入れていく。今年度内に全面改良する「RAV4」のPHVをはじめ、多様化する電動車の提案ができるよう、営業スタッフの教育も強化していく。今は数%に満たないPHVとEVの合計販売比率を、20%程度まで引き上げる目標を販売会社に伝えている。
日本の場合、乗用車は「2030年度燃費基準」により、16年度実績と比べ燃費を3割ほど向上させ、企業別平均燃費基準(CAFE)で25.4㌔㍍/㍑にする必要がある。また政府は、35年までに乗用車は新車販売の100%を電動化する目標も持つ。